子供の家庭養護に関するシンポジウムで「家庭に勝る場所はない」と訴えるジョルジェット・ムルヘアさん=2015年6月8日、東京都港区(日本財団撮影)【拡大】
シンポジウムでは、ムルヘアさんのほか、同じく来日した欧州委員会地域・都市政策総局政策アナリストのアンドル・ユルモスさんも登壇し、欧州での取り組みを紹介。そろって子供を施設ではなく家庭で育てることの重要性を訴えた。
欧州で進む「脱施設化」
ムルヘアさんは、施設で暮らす子供が世界で800万人おり、このうち80%には実の親がいることや、施設入所が成長に好ましくない影響をもたらすという研究結果があること、そして家庭での養育のほうがコストも抑えられることなどを報告。ユルモスさんは、欧州では地域でのケアを充実させる「脱施設化」を進めていることを紹介し、それに至った経緯や成果について説明した。
日本でも、厚生労働省が施設で暮らす子供を減らし、里親など家庭養護の割合を全体の3分の1に引き上げるという目標を掲げている。ただ、2人の専門家は施設の全廃を訴えたのに対し、日本では現在、一定程度の施設の利用を前提としている。施設の全廃を目指すか否か。ムルヘアさんは講演の中で、目標の相違にあえて触れ、「質の高い施設であれば、家庭より良い」という意見に対し、「家庭に勝るものはない」と反論した。