ただ、その場合でも30日間の支払い猶予期間があり、すぐにはデフォルトにならない。米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)などは、民間への債務不履行と異なり、公的機関のIMFに対する返済が滞っても「デフォルトには相当しない」との見解を示している。
ユーロ売り公算大
しかし7月20日には欧州中央銀行(ECB)への約35億ユーロの国債償還期限が来る。償還ができないとデフォルトと認定されるのは必至だ。ギリシャのユーロ離脱という最悪のシナリオも想定される。欧州各国の国債格下げや世界同時株安につながりかねない。
金融市場では、6月末までに合意できなければ「安全性が高いとされるドイツ国債が買われる一方、信認が損なわれたユーロが売られる公算が大きい」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジスト)という。デフォルトに至らなくてもリスクを避ける動きが出る恐れがある。
日本でも安全資産といわれる円が買われ、円高ユーロ安となる。欧州向け輸出が多い日本企業は為替差損が膨らみ、輸出企業の業績を押し下げる懸念もある。17日の定例会見で、日本証券業協会の稲野和利会長は、「一時的にマーケットに混乱を呼ぶということはあると考える」と述べた。