演劇ユニット「る・ばる」の新作「蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞-」=2015年6月3日(提供写真)【拡大】
茨木を題材に推薦したのは松金で、死後に発表された、亡夫への思いをつづった詩集「歳月」にほれ込んだため。だが茨木の人生はそう劇的ではなく、ドラマには仕立てにくい。故人の生前を知る関係者も多いだけに、特定の女優が演じると、偏ったイメージがつきかねない。試行錯誤の末、松金ら3人のやり取りで表現する形となったという。
「主人公3人」の展開が散漫に見える印象もなくはない。ただ「自分の目で見て耳で聞いて、自分の足で立ちたい」という茨木のメッセージは力強い。「今の時代は目の前のことに忙殺され、過去を顧みずに流されてしまいがち。戦後70年の今年に重く響く」とマキノ。6月21日まで、東京芸術劇場シアターイースト。地方公演あり。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)