「明治日本の産業革命遺産」の対象施設の一つである通称「軍艦島」と呼ばれている端島炭坑=2015年4月25日、長崎県長崎市(共同通信社ヘリから撮影)【拡大】
現在、日韓はともに委員国を務めているが、日本は今年で任期が切れ、来年以降は発言力が格段に弱まる。日本側の交渉担当者には「今年が勝負」との思いがあり、徴用を含めた歴史の全体像を説明すると約束し、韓国の理解を得ようという案が浮上している。
韓国は反対する7施設について、強制徴用に触れる形で「歴史の全容」(韓国政府高官)の説明を日本に要求。受け入れられれば反対取り下げもあると示唆する一方で、反対支持拡大へ外交攻勢をかけている。
朴槿恵政権は、中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大で国内世論の批判が集中。世界遺産登録で日本に国際社会が同調する結果となれば、求心力はさらに低下する。
「無条件には反対せず」
朴大統領は6月、登録を審査するユネスコの世界遺産委員会の副議長国セネガルの大統領が訪韓した際、反対支持を要請。尹外相も世界遺産委の議長国ドイツ、副議長国クロアチアを訪れて協力を求めた。