【BOOKWARE】
『ば化粧師』とは凄いタイトルだが、フランスで長らく映画や舞台の変身メーキャップを独自に開発してきたトップアーティストのレイコ・クルックのことだ。その波乱の半生記と大胆かつ細心の仕事ぶりを綴ったのが『ば化粧師』である。
レイコの得意技は、特殊メーキャップともスーパーメイキングとも、スキンアートともメタモルアートともいうべきものだが、本人は「変身師」とか「化け粧師」と呼ばれたいらしい。なにしろ怪優クラウス・キンスキーをノスフェラトゥやバンパイアに一変も三変もさせ、天才ヴェルナー・ヘルツォーク監督を感服させた凄腕なのだ。
できればその全貌は、先頃亡くなった岩佐壽彌の異色ドキュメンタリー『いっちょんわからんやろ 変身の魔術師・麗子クルック』(2013)や、レイコ自身がヨアンナ・シューベルトをして20代・30代・50代・80代にみごとに変身させながら撮ったアートフィルム『炎』(1995)などを見てもらいたいが、むろん本書でも十分に伝わってくる。