長野県南佐久郡北相木村(きたあいきむら)で田植えを体験する「山村留学生」の児童=2015年5月23日(北相木村提供)【拡大】
一方、民間団体「日本創成会議」は6月、高齢者の地方移住を求める提言を発表。政府も「まち・ひと・しごと創生基本方針」に盛り込んだ。しかし自治体側は「都市部で面倒を見きれないからと地方に移しても、問題の解決にならない」(泉田裕彦新潟県知事)と反発、政府への不信感が噴出した。
転出超過6400人
青森県は昨年6月、県内市町村と東京都心に移住相談ブースを設け、取り組みを本格化。3月までに79件の相談を受け、うち少なくとも14人が県外から移住したという。
しかし今回の人口動態調査では、転出が転入を約6400人も上回った。県の担当者は「若者が進学や就職で東京など大都市に出て行ってしまう。仕事づくりも進めないと、流出は止まらない」と嘆く。
東京圏に近い静岡県でも、転出超過は全国で2番目に多い約7600人に上った。「他地域のまねをしていては駄目。観光資源や交通利便性など、静岡の特徴をもっとアピールしていかなければ」(県企画課)と危機感を強める。
島根県立大連携大学院の藤山浩教授(中山間地域論)は「地域を維持するには、大量に移住者を受け入れる必要はない。大都市にない特色を生かし、少人数でいいから毎年、人を呼び込むことが重要だ」と話している。