海渡り得た評価
これまでこの連載で紹介してきたものは私が感動したものたちばかりだが、今回はそこに文祥窯を加えたい。文祥窯は、佐賀県にある伊万里港を望む高台に窯を構える窯元である。割烹(かっぽう)料理用の器を得手とし、長年多くの料理人に愛されてきた。その窯において、近年、若き担い手である馬場光二郎さんが創作し始めた品々に心がふるえた。彼は、日本磁器の発祥を担った古伊万里の魅力に心奪われ現代に継承すべく徹底している。素材も、有田焼発祥の素材である泉山鉱石を用い、成形も昔ながらの方法と格闘し、さらには焼き上げにも薪窯を利用する。しかし、1年ほど前の作品は本人にとっては発展途上であり、世に提案することもなくひっそり生み出されていた。私がこの品々に出合ったのは僥倖(ぎょうこう)と言ってよい。見た瞬間「NAKANIWAへ!」という衝動に駆られた。これらの品は、今NAKANIWAでは品薄状態である。購入者は、何かすてきな出会いがあったかのような喜びあふれる笑顔で帰っていく。そのたびに、「価値」はそれを理解する人に対しては損なわれることなく伝わることを実感する。