【アートクルーズ】
敗戦から70年がたった。戦争を生き延びた人たちの多くも鬼籍に入り、いまや〈彼ら/彼女らの体験〉に耳を傾けるのではなく、〈私たち自身の記憶〉として70年前のことを〈再想像〉しなくてはならない時代に突入している。
残酷表現と悲劇を求める欲望
体験していない戦争を〈想像〉するにあたって、戦後無数に描かれてきた「戦争マンガ」は私たちに豊かなヒントを与えてくれるだろう。「戦後」文化として花開いたマンガは、戦争の体験から大きな影響を受けている。それらを読み解くことで、日本人が、戦争というものに対して、どのように向かい合ってきたか、そして、今後どのように向かい合っていくべきかを知ることができるかもしれない。
マンガを含む大衆文化にはまた、学校などでは決して表に出てこないような、戦争というものに対する人々の複雑な思いがダイレクトに反映することがある。誤解されるのを覚悟で言えば、多くの戦争マンガは、平和を切に願う一方、どこかで、残酷な表現や他者の不幸を娯楽として楽しみたいとも考えてしまう私たち読者の欲望によって支えられている。しかし、本展の監修者で評論家の呉智英のことばを借りれば、「それが人間」なのだ。戦争のことを考えるとき、私たちは、こうした欲望についてこそ考える必要がある。