物語の重要なキーとなるのが、「目」。「烏目役」と「水守」はそれぞれ特殊な目を持つ。「烏目役」はほんのわずかな闇でも視界を奪われるし、逆に「水守」にとっては、光は刺すほどの苦痛となる。「メガネを作るときに、『瞳孔が開いてますよ』と言われまして…。確かに私、まぶしがりなんですよね。これがもっと行き過ぎたらどうなるんだろう?と思ったのがきっかけです」
「烏目役」は北海道帝国大学に通う八尾清次郎。一方、「水守」の役目を担うのは外界から隔絶された闇の中で暮らす美貌の“少女”だ。全く対照的な二人が、ともに死者の未練をさぐる。「『対にしよう』というのは最初から決めていました。一人でなんでも解決してしまうよりも、ペアを組んで、互いを補いあうバディものが好きなんです」
父みとり痛感
役目をこなすうち、次第に水守にひかれる清次郎。だが、水守には秘密があった。しかし、その秘密ゆえ、ますます清次郎の水守への思いは純度を高めていく。「単なる男女の関係を超えた人間的なつながりを書きたい。もともと誰かと強い絆を築いたことがないので憧れてしまうんです(笑)。好きな言葉は『友情』ですね」