デビュー以来、死の気配が漂う作品を多く重ねてきた。「小学2年生のときでした。家族で夕食を食べているとき、ふと『自分が今、死んだらどうなるんだろう』って怖くなったんです。そのときの思いをずっと引きずって、ここまできてしまった」
本作のゲラを直していた今年3月、父親を亡くした。「父をみとって、今まで自分は何も分かっていなかったな…と痛感しました。この作品では、もしかしたら、死者たちが素直すぎたかもしれない。私だったら『あの世に行きたくない』と、もっと逆らうでしょうし、この世のものでなくとも、父にはそばにいてほしいですね」
本作の最後の一節。愛するものを失ったことのある者ならば、心打たれることだろう。「救いでありたいですね。母にも、『いい一文だね』と言ってもらえました。やっぱり、もう一回父に会いたいですよ…」(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)