1972年2月21日、米大統領として初めて訪中したリチャード・ニクソン大統領(左)と、毛沢東主席=中国・首都北京市(UPI=共同)【拡大】
「公益」に資する情報提供
筆者はピンポン外交を通して国際力学の一部を垣間見たにすぎない。ただ、佐藤首相の特使として、米軍に緊急時の沖縄への核兵器持ち込みを認める密約の策定にかかわった若泉敬(わかいずみ・けい)京産大教授(当時)は後に日本が「愚者の楽園」になったと嘆き、自死した。若泉氏とはさまざまな国際交流の現場でご一緒したが、その経験からも、学者は社会の真実を追究し、メディアは長期的視点での国民の幸せを確保するという「公益」に資する情報を毅然として提供すべきだとつくづく思う。(同志社大学名誉教授、メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)