148選手が出場した今年の「ジロ・ローザ」。女子ロードレース界のトップ選手がみな出場する大会で、高いステータスを持つ=2015年7月12日、イタリア・ピエモンテ州ベルバニア(田中苑子さん撮影)【拡大】
第6ステージは途中3つの山岳を越える102キロのコースレイアウト。萩原の所属するウィグル・ホンダには総合優勝を狙うマラ・アボット(アメリカ)とエリサ・ロンゴ・ボルギーニの2人のエース選手がいるため、チームから萩原に課せられた指令は、エースのために走ること。具体的には、得意の登坂力を生かし、アタックをかけて先行、萩原を追うライバルチームの体力を奪うというものだった。
そして、この日は作戦通りに萩原を含む7選手の“逃げ”が序盤に決まると、終盤に追撃を仕掛ける有力選手たちの集団が追いつく展開となった。そこにはしっかりとウィグル・ホンダのエースも含まれていた。そして最後の山岳で再びアタックを仕掛け、今度は単独で先行した。
「できるだけ長く逃げて、他のチームにダメージを与えたかった」と話す萩原、ゴールが近づくにつれて、徐々に萩原と追走集団とのタイム差が詰まってきたが、残り5キロを切ってから、その差は30秒で保たれ続けた。エースのために一生懸命走っていた萩原だが、残り1キロを切って、後ろを振り返ったときに、後続が追いついてこないことを確認。ここからは自分の勝利を目指して、向かい風の中で懸命に走り続け、自身にとって欧州での初勝利となるうれしいステージ優勝を挙げた。またチームとしても、総合上位にいる選手を何人か振るい落とす結果となり、萩原の走りは大いに評価されたのだ。