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【国際政治経済学入門】第2次日中通貨戦争、劣勢の円 (3/4ページ)

2015.8.12 09:00

中国・山西省の黄土高原=2006年11月22日(田村秀男撮影)

中国・山西省の黄土高原=2006年11月22日(田村秀男撮影)【拡大】

 対中和平工作に奔走した陸軍中野学校出身の井崎喜代太氏の回顧録によると、日本軍の第一軍司令官、若松義雄中将と、中国山西軍の閻錫山将軍が会談。若松中将は山西軍にラッパで迎えられ、閻将軍とにこやかに握手し和平協定が成立したかのように見えた。

 当時、閻将軍は重慶の蒋介石国民党政府に協力していたが、旧知の若松中将の誘いに乗って、日本軍の影響下にあった南京の汪兆銘政府と合作し、反蒋介石で連合することを約束していた。歴史に「もしも」はないが、実現すれば日本軍・汪兆銘政権連合は中国の黄河以北(華北)を取り込んで、戦況を一挙に有利に導き、蒋介石との和睦交渉の道を開いたかもしれない。対米戦争の局面も大きく変わったはずだ。和平条件は、資金援助である。村の入り口では、国民党政府の通貨「法幣」4000万元の札束を積んだ日本軍の駄馬隊が待機。「会談成功」という合図を確認した駄馬隊の隊長が「ホウヘイ前へ」と大きな声で号令。駄馬隊が一斉に動き出し洞窟めざして前進する。

日本軍の軍票が使えず、法幣に頼らざるをえなかった

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