にもかかわらず、中国は株式や為替市場に介入した。確かに、為替市場を見る限り、7月以降の人民元は経済実勢以上に強くなっており、人民元が安くなる地合いにあった。だが、過去10年間、人民元高を加速する介入はなかった。なのに、国内経済へのカンフル剤となる人民元安に誘導する局面でだけ「実勢から乖離(かいり)している」と介入するのはご都合主義である。
人民元安に誘導したいのなら、同時に市場や金融分野を開放すればよいだけのこと。コストを支払わない「好いとこ取り」の戦略では、米国にかなわない。(ニューヨーク 松浦肇/ SANKEI EXPRESS)