惜しくも決勝で敗れ、甲子園の土をかき集める仙台育英のエース、佐藤世那(せな、中央)=2015年8月20日、兵庫県西宮市・甲子園球場(福島範和撮影)【拡大】
前日の準決勝で完投した。疲れがなかったと言えば嘘になる。「スピードも出ないし、球も切れていなかった」と四回までに6点を失った。それでも、五回からは「最後だからやるしかない」と気力を振り絞った。五回から八回は失策以外の走者を許さない鬼気迫る投球でスタンドの大観衆を魅了し、手拍子の後押しも受けた。
しかし頂点は手が届きそうで届かなかった。前日に「ここからの1勝が果てしなく遠い」と話していた佐々木順一朗監督(55)は試合後「あと1イニングでしたね。でも、先制点を取られたら一方的な展開になると思っていたのに、一度は追い付いた。よくやったと思う」と悔しそうに話した。佐藤世も「ここまで来るなら優勝したかった」と言った。
仙台育英の、そして東北勢の悲願は持ち越された。「東北の後輩たちに優勝を託したい」と充実感に満ちた表情で言った。後輩へ、夢は受け継がれた。(SANKEI EXPRESS)