「流れってなんだ」。作家、須藤靖貴(やすたか)氏の陸上小説「デッドヒートI」に、スポーツ実況で使われる「流れ」について主人公が考えるシーンがある。高校の駅伝大会で惨敗し、監督に「お前が流れを止めた」と言われたからだ。
〈野球やサッカーのテレビ中継を見ていても、「いい流れを作った」だの、「このエラーで流れが変わった」だの、「流れをつなぐ送りバント」だの、「悪い流れを断ち切るヒット」だのと、頻繁に出てくる〉〈空気の流れ、と言うように、見えないものだから、テレビ解説者にそう言われるとこっちも分かったような気になる。でも、ちっとも分かってない〉〈曖昧な言葉を、安易に使いすぎてやしないか〉
熱戦が繰り広げられた夏の甲子園の記事に「流れ」が使われているか調べてみたら、あった。仙台育英-秋田商の戦評に「好機を逸して流れを引き寄せられず」という一文を見つけた。確かに、分かったようで分からない。