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自然に回帰した「鉄の彫刻家」 「若林奮 飛葉と振動」 (2/4ページ)

2015.8.24 11:30

「飛葉と振動」(2003年、木、布、ジェッソ、WAKABAYASHI_STUDIO蔵)=2009年9月18日(山本糾さん撮影、提供写真)

「飛葉と振動」(2003年、木、布、ジェッソ、WAKABAYASHI_STUDIO蔵)=2009年9月18日(山本糾さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 「泳ぐ犬」(1973年、鉄、木、個人蔵)=2009年9月16日(山本糾さん撮影、提供写真)
  • 「4個の鉄に囲まれた優雅な樹々」(2000年、霧島アートの森)=2014年11月(山本糾さん撮影、提供写真)
  • 「残り元素I」(1965年、鉄、神奈川県立近代美術館蔵、提供写真)

 若林の作品は、見る者にイメージを強いる。あおむけに寝た少女が立てた膝の上にハエが乗り、煙とも魂とも知れないものを少女の口に吹き込む「無題」(1968年)や、いくつもの泡のような突起のついた鉄板の下に、もう一つ突起のある鉄板がぶら下がる「中に犬・飛び方」(1967年)など、得体の知れない形に触発されて、私たちはいや応なく想像を膨らませることになる。

 なかでも、1965年の二科展に出品した代表作の一つ「残り元素」I、II、IIIには、さまざまな思いを抱く。作品について若林は別の彫刻家に、「世界の終末の予感が発想の根底になっている」と話した。「残り元素I」は、煙突のついた化学工場なのか、大砲を突き出した装甲車なのか、何かの「文明の象徴」の前で、なすすべもなくうずくまる(うなだれる)人間を表しているのだろうか。

 第二次世界大戦(39~45年)後わずか5年で朝鮮戦争が起こり、15年後にはベトナム戦争も始まった。若林ならずとも世界の終末を予感するのは普通の神経だった。

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