【アートクルーズ】
3年に1度の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開幕した。6回目の展示作品は、過去最多の約380点。廃屋や廃校の中に、生活の気配や証しを再現するインスタレーションが展開したり、田園風景の中に、地域復興の願いを表現するオブジェが置かれたりしている。アーティストたちのテーマは、豪雪や過疎化、産業の衰退に苦しんできた地域に根差している。760平方キロメートルにちりばめられたアートのほんの一部を紹介しよう。
「非日常的な時間」体験
開幕前日の7月25日。午後6時ごろ、越後妻有里山現代美術館「キナーレ」屋内で、蔡國強による火薬画「島」の実演が催された。
蔡が点火すると、幅2.5メートル、長さ16メートルの和紙が、わずか1、2秒で炎に覆われ、辺りは白煙に包まれた。焼け焦げた覆いを剥がすと、海に浮かぶ黒々とした島が姿を現した。
蔡は、仙人の住むという中国伝説の「蓬莱(ほうらい)山」をテーマに、一連の作品をつくっている。キナーレの中央にある池には実際に、樹木が茂る島も出現。蓬莱山や滝もつくられ、島の周囲には、地元のわら細工によるヘリコプターや軍艦もあしらわれた。