いじめや不登校の問題を取材すると、「逃げ場がない」という思いが、当事者の子供を追い詰めて苦しめている、と思うことが何回もあった。
「いじめに遭ったことで自分は駄目な人間なんだと自己否定してしまった。何度も死にたくなった」
岩手県北上市出身の、佐藤綾さん(22)=仮名=は、都内の私立大4年生。中学生のときにいじめを経験した。
佐藤さんは中学校で入部したバレー部で先輩からいじめられた。「調子に乗っている」「生意気」-。練習中に無視され、「キモい」と言われた。ストレスから、練習に行くと、頻繁に鼻血が出た。「学校では常に誰かの存在を気にしなければならず、息苦しかった」。中学1年の夏休み、部活の練習を休んだのをきっかけに、2学期からは学校にも行けなくなった。
「みんなが当たり前に通っている学校に行けない自分は生きる価値がない」と悩んだ。2年で市内の別の中学に転校。母親は「環境を変えて頑張りたいならいいと思うよ」と理解してくれた。だが、いじめられていたことは転校先にも伝わり、また、いじめられた。学校にも行けなくなった。