首都北京市内のショッピングモールで、保安検査に並ぶ大勢の人たち=2015年8月27日、中国(共同)【拡大】
中国が9月3日に実施する「抗日戦争勝利記念行事」まで1週間を切った。目玉となる軍事パレードの開催地、北京市では、国の威信を懸けた政治イベントの成功を演出するため、交通規制や企業の生産停止などさまざまな対策が取られているが、生活や仕事に大きな影響が出ている上、経済への先行き懸念からの株価の乱高下も続き、市民の反応は冷ややかだ。
「野菜が急に値上がりした」。50代のタクシー運転手の男性はぼやいた。当局が北京市外からの車両の出入りを制限しているため、物流に支障が生じ、食材の値段が上がっているという。「戦勝記念なのに食卓は粗末になったよ」
3日に中国の指導者や各国の首脳らが集まる天安門広場周辺の地下鉄駅では空港並みの保安検査が始まり、警官の監視下で長い行列ができている。「地下鉄に乗ることは犯罪行為になったらしい」。乗客同士がささやいていた。
市中心部の通りに並ぶ飲食店などの店舗も「治安対策」を理由に3日前後の営業停止を命じられた。損失補償金などは支給されない。理髪店店員の20代男性は「はさみとドライヤーが最新兵器とみなされたようだ」とため息をもらした。50代男性は「パレードより株価が気になる」と話した。