井浦新_下鴨神社写真展「御生_Miare」の会場となる神服殿(しんぷくでん)。御神服を奉製する御殿であったことから、厳かな雰囲気が漂い、御簾を上げると展示写真を垣間見ることができた=2015年6月19日、京都市左京区の賀茂御祖神社(下鴨神社、田中幸美撮影)【拡大】
新木宮司から御蔭祭の歴史と意味について学び、「糺の森の闇の中で感じていたみずみずしい魂が蘇(よみがえ)ってくるような感覚こそ御蔭祭の神髄であり、御生だったのだ」と気付かされたという。そして、「暗闇の中に存在して、その闇から生まれてくる。それが一番強烈に心に残ったことなので、タイトルも御生にさせていただいた」と話す。
新木宮司からは撮影にあたっては「目に見えないものを形にしてください」と注文された。カメラを道具に目に見えないものと向き合い、「式年遷宮で社殿を修復される職人の方々や、祈りをささげる下鴨神社のみなさまを写真に収めるうちに、式年遷宮のさまざまな神事を継承し未来につなぐ行為に心を打たれた」という。そして「式年遷宮こそ御生なのだ」と考えるに至った。
井浦さんは「目に見えない力とそれを支え継承するたくさんの人間の力を写真を通して多くの方たちに見て感じていただきたい」と話している。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)