決算発表会見終了時に、頭を下げる東芝の室町正志社長(左から2人目)【拡大】
東芝が不適切な会計処理に手を染めたのは、稼ぐ力が衰えたことがきっかけだ。世界初のノートパソコンを開発するなど産業界をリードしてきた家電事業は低迷。期待した原発事業も伸び悩み、半導体に頼る「一本足打法」の経営が続く。室町氏は不採算事業のリストラを「大胆に実施する」としたが、最大の課題である収益源の多様化への道筋は見えない。
東芝は今回の問題で、前社長を含めた8人の取締役(社外役員を除く)が会社を去った。このうち副社長だった小林清志氏は、引責辞任後も半導体事業の顧問を務めている。事業を取り仕切る人材が他にいないためとされる。
一時は周辺に辞意を漏らした室町氏も、代わりが見つからず社長続投を余儀なくされた。お目付け役の社外取締役は増える一方、実務面で再建を担う人材は不足している。
7日の東京株式市場で東芝の株価は小幅上昇したが、ことし3月時点の高値と比べるとまだ3割以上低い。関西の弁護士らでつくる「東芝事件株主弁護団」によると、会計問題で損害を受けた個人株主は約40万人に上る。年内にも株主らを原告とした損害賠償請求を起こす方針だ。東芝株は、粉飾決算問題を起こしたオリンパスなども指定された「特設注意市場銘柄」になる見通しで、市場からも厳しく監視される。見かけの利益を確保するため、東芝が失ったものはあまりに大きい。(SANKEI EXPRESS)