漁師の夫が海で行方不明になるこの映画のラストシーン。その撮影が始まるときの夏目さんの姿を、榎戸さんはよく覚えている。「それまでとは表情がまったく違っていたんです。相米慎二監督が『早く撮らせろ!』と慌てるほどの変貌ぶりで、他の若い女優とは潜在能力が違うと感じた」
これから先、彼女は一体何を見せてくれるのだろう-。大きな期待が膨らむ中、突然去った夏目さん。多くのファンらが喪失感を共有し、今も在りし日の姿がさまざまな形で呼び戻される。
夏目さんの遺志も生き続ける。93年に設立された「夏目雅子ひまわり基金」は、治療の副作用などで脱毛した患者にかつらを無償貸与し、骨髄移植の啓発などをする活動を20年以上行ってきた。メディアなどで夏目さんの特集が組まれるたび、寄付の申し出や問い合わせが相次ぐという。(SANKEI EXPRESS)