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【取材最前線】残したくなる撮影用セット (2/2ページ)

2015.9.12 10:30

 印象に残ったセットでは、連合赤軍によるあさま山荘事件を映画化した「突入せよ!あさま山荘事件」(原田真人監督、02年)がある。東映東京撮影所には、美術監督の部谷(へや)京子さんの手により、あさま山荘内部のセットをが作られた。部谷さんは一度、1972年当時の管理人夫婦のささやかな生活空間を作り上げた上で、過激派のバリケード作りと機動隊の放水を念頭にセットを徹底的に破壊。暗がりで水浸しになった室内を見ていると、作り物だと分かっていても、胸が痛んでならなかった。

 意外な発見もある。ある作品のセット内に、本で埋め尽くされた壁一面の書架があった。しかし、知っている本が一冊もない。許可を得て1冊を引き抜くと、架空の表紙カバーを付けたダミーだった。存在しない本のタイトルが眼前いっぱいに並ぶ光景は実にシュールで、頭がくらくらした。

 他にも、狭いセットで遠近感を出すため、窓の外に手のひら大のTシャツが干してあったり、鋼鉄かと思ったらベニヤ板にペンキを塗っただけのものだったり…と見ていて実に興味深い。

 どんなセットも、撮影が終われば消えてなくなる。当然といえば当然だ。それでも、ドラマチックな雰囲気が漂う素晴らしいセットを見ると、何とか残せないのか、といつも考えてしまうのだ。(岡本耕治/SANKEI EXPRESS

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