濁流に囲まれた防災対策本部のある常総市役所。防災拠点としての機能を果たせなかった=2015年9月11日、茨城県常総市(中辻健太郎撮影)【拡大】
たとえば、大きな被害が出た茨城県常総市(じょうそうし)では、「ハザードマップ」で浸水地域とされていた市役所が対策本部となり、防災対応知識の欠如で指示機能が混乱した。これは、東日本大震災時に岩手県大槌町の役場で、津波によって町長を含む多くの職員が犠牲になったことが教訓として生かされていない。
一方で、災害報道の陰に隠れ、集中砲火を免れたかのようになっている2020年東京五輪・パラリンピックをめぐる新国立競技場とエンブレムの白紙撤回についても、社会情報的な共通性があり、メディアが果たすべき役割について考えたい。結論を先にいえば、問題の本質は、日本社会には総括的なハザードマップができておらず、メディアの指摘も不十分であるということだ。
日本政府の防災システムは、水害は国土交通省、台風や火山の噴火は気象庁、原発事故は経済産業省などと所管官庁が別れ、縦割りになっている。だが、東日本大震災は地震・津波・原発事故の複合災害であったし、今回の東日本豪雨も台風による豪雨と、堤防決壊による水害が複合。所管官庁が気象庁と国交省にまたがったことで対応が混乱し、現場の自治体にも適切に対応できる人員や予算が乏しかった。