広島県広島市安佐南区八木地区の住宅地。土石流に襲われた住宅跡が更地となって連なる=2015年8月19日午前(共同通信社ヘリから撮影)【拡大】
土石流被害の恐れがあり、付近に市街地を抱える区域で、砂防ダムなどが整備されていない所が、昨年末時点で少なくとも692カ所に上ることが16日、会計検査院の調べで分かった。実際に起きうる被害は地形や避難計画などに左右されるが、市街地に影響が及べば大きな被害が出る懸念がある。
広島市で昨年8月、土石流で多数の死傷者が出たため、検査院が27都道府県を選び、土砂災害の人的被害が想定される「警戒区域」やより危険な「特別警戒区域」のハード対策の状況を調べた。
検査院によると、土石流の恐れがある計約3万カ所の特別警戒区域の中で、砂防ダムなどが整備されていないのは約2万6000カ所に上った。このうち、区域内や周辺の警戒区域に市街地に当たる一定以上の人口集中地区があるのは16都道府県で692カ所あった。
長崎県が281カ所で最も多く、東京都の148カ所が続いた。ただ、前提となる警戒区域などの指定を終えていない自治体も多い。