さて、須佐神社には七不思議が伝わる。そのひとつが「塩ノ井」。境内に小さな池がある。なんと、北方約20キロ、出雲大社に近い浜と通じているという。池の水は、海水の味がすると伝えられる。確かめてみよう。池の水をすくう。飲んだ。塩分を感じた。かすかに。
壮大な不思議もある。「影無(かげなし)桜」。はるか昔。日本海に浮かぶ島、隠岐(おき)で、不作が続いた。夢のお告げがあった。
――須佐神社の境内に巨大な桜が茂っている。その影が隠岐にかかるので耕作ができない。島民は出雲に渡った。事情を説明し頼み込んで桜の巨木を切り倒したところ、豊作となったそうだ。
夕暮れ。雨が上がった。須佐の郷の高台へ行ってみよう。棚田の上に立つ。見渡す。山々が連なる。白い雲がわきたつ。もくもく。もくもくと。スサノオが歌った情景がよみがえる。八雲立つ 出雲…。ああ。出雲はいい。日本の原風景がここにある。(塩塚保/SANKEI EXPRESS)
※逍遥 気ままにあちこち歩き回ること。