しかし、後半43分にコスタがコシールニーを突き飛ばしたシーンは決定的だった。ディフェンダーはもんどりうって倒れたのだ。
起き上がったコシールニーは自身の胸とコスタの胸を突き合わせ臨戦態勢に入ったことを告げる。と、そこへ仲裁に入ったのがガブリエルだった。ポルトガル語が通じるガブリエルはコスタをなだめようとしたのだ。だが、獰猛(どうもう)なFWコスタは、急遽(きゅうきょ)標的を変更する。審判の目を欺きながらガブリエルの首をいきなりひっかき、普段は温和なブラジル人ディフェンダーの怒りを誘ったのだ。結局、挑発にのって足を出したガブリエルはレッドカードを受け、退場。状況を制御できない審判は、コスタにイエローカードを提示しただけだった。相手を数的不利に追い込んだコスタは、自身の仕事をやり遂げたとでもいわんばかりの表情。一方、11人でやるべきスポーツを10人でプレイするアーセナルに勝機はなかった(その後もう1人退場し最後は9人に。まさに踏んだり蹴ったりである)。