幅広く知識を身につけたい
アンは恐縮した表情で撮影の舞台裏の一端も明かしてくれた。「コット監督からは基本的には『あなたが感じたままに自由に伸び伸びと表現してくれればいい』とアドバイスをいただきました。撮影では比較的楽な気持ちになれました」。どうしても楽しそうな表情ができないときは「コット監督が『共演者の裸を思い浮かべればいい』と提案してくれました」。コット監督にすれば、素人のアンに難しい演技を要求したところでわざとらしさを助長するだけとの思いが強く、アンの自然な表情を撮りためておき、編集の妙を駆使して堅固な映像表現へと仕立てていったというのが基本線のようだ。
最近、アンは生まれ育ったモスクワから韓国へ移住し、韓国語を学びながら大学進学の準備を進めている。「リベラルアーツを学び、文系や理系といった区分けにとらわれず、幅広く知識を身につけたいですね」。女優へと見事に化粧直しされ、幸運にも世界の舞台の入り口に立つことができた“ダイヤモンドの原石”は、穏やかな日常生活を一変させ、再び女優として高みを目指すこともあるのだろうか。東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中。10月17日からシネ・リーブル梅田で公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)