日本のすばる望遠鏡など世界各国の天文台が設置されているハワイ諸島最高峰マウナケア山。夜、中腹のオニヅカ国際天文学センター付近から山頂方面を眺めるとなだらかな山影の上に星空が広がっていた=2015年9月5日、米ハワイ州ハワイ島(三尾郁恵撮影)【拡大】
どんよりとした霧がたちこめるなか、なだらかな坂道を車で登る。時折降る雨に山頂まで行けば晴れるだろうかと不安になりながら車を進めていると、標高約3900メートル付近で霧を抜けた。周辺には火星のような赤土の風景が広がり、真夏でも分厚い防寒着が必要なほどの冷たい空気が流れていた。
米ハワイ諸島のハワイ島にそびえるマウナケア山。なだらかでそれほど高いようには見えない山だが標高4205メートルもあるハワイ諸島の最高峰だ。山頂の空気は澄みわたり、世界で最も天体観測に適した地といわれ、日本の国立天文台のすばる望遠鏡など世界各国の観測所が並ぶ。山頂付近で夕日や星空を観測をするツアーは人気が高く日本からの観光客も多い。
山頂に到着した頃、太陽はすでに赤みを帯びていた。眼下には天文台群と雲海。すばる望遠鏡の向こう側に夕日が沈むと、頭上には満天の星空が広がった。月齢は新月、星空の中央には天の川が流れていた。
東京都小平市から夫婦で訪れた堤宏之さん(62)は「日中は曇っていたので心配していたが、夕日も星空も堪能できた」と満足そうだった。