本当に、知らないことばかりだった。テレビ朝日系で放送されるドキュメンタリー番組の取材をしたときのことだ。番組の内容はアフガニスタンなどの紛争地域で負傷した子供たちを無償でドイツに招待し、治療やリハビリを行っている「ドイツ国際平和村」の活動を伝えるもの。大阪を拠点に活動しているフリージャーナリストの西谷文和さんが3年間の取材をまとめたものだった。
ドイツに向かう子供たちが傷を負った経緯はさまざまだ。地雷や爆弾の爆発に巻き込まれた子供が映像に写し出され、十分な治療を受けられず、癒えない傷をさらしている。その中に、かまどに落ちて大やけどを負ったという子供が登場した。西谷さんいわく、こうした子供が多いのだという。貧困が続くアフガニスタンでは、土を掘って簡易のかまどを作り、薪やごみを燃やして煮炊きをする。冬の寒さに耐えかねた子供たちが暖を取ろうと近づき誤ってかまどの中に落ちてしまうのだという。安全教育などされていないため、裸の電線を握ろうとして感電、手の指を失った子供もいた。