ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と会談する安倍晋三(しんぞう)首相。北方領土交渉は一筋縄ではいかない=2015年9月28日、米ニューヨークの国連本部(共同)【拡大】
首相は、こうした欧米からの横やりも想定し、これまで日米同盟の強化を進めてきた。世界経済の4割を占める環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や集団的自衛権の限定的行使を認めた安全保障関連法、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)がその例だ。
いざとなれば、北方領土の帰属問題は「(日露)2国間の問題」と米国に日本の立場を説明し、反対を押しのけて協議を進めることも視野に入れている。
また、ロシアに対しても首相直轄の国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎(やち・しょうたろう)国家安全保障局長をモスクワに派遣し、対話継続を求める自身の言葉をクレムリン(露大統領府)に伝える裏外交も展開してきた。
北方領土交渉はロシアをめぐる国際情勢、経済状況、日米関係など多岐にわたる要素が複雑に絡み合っている。それだけに、日本の思いや妥協案だけで交渉を動かすのは難しい。
官邸筋は「環境がうまく整って一気に交渉が動く可能性もあるが、そうなるかは紙一重の差だ」と指摘する。厳しい状況のなかで、何十年に一度のような一瞬のチャンスを成就できるかは、首相とプーチン氏の関係にかかっている。(SANKEI EXPRESS)