ノーベル医学・生理学賞に決まり、記者会見する大村智(さとし)・北里大特別栄誉教授=2015年10月5日夜、東京都港区(共同)【拡大】
大村智・北里大特別栄誉教授のノーベル賞受賞で、オンコセルカ症という日本ではなじみのない感染症が注目を集めた。大村氏の発見した物質による治療薬により、オンコセルカ症は近い将来、制圧できる可能性が高いという。喜ばしいことだ。
感染症と人との戦いは半永久的に続くとみられるが、一方で人類が撲滅に成功した感染症もある。天然痘だ。そして今、天然痘の次に撲滅間近とされているのがポリオ(小児まひ)である。一時は125カ国で流行がみられたが、今年9月にはナイジェリアで流行が終わったことが確認され、流行国はパキスタンとアフガニスタンのみとなった。今年の世界ポリオデー(10月24日)は、ナイジェリアが流行国から外れたことを祝うとともに、「あと一歩」となった撲滅に向け決意を新たにする日となった。
その2カ国のポリオ撲滅に向け、日本が大きな役割を果たしていることをご存じだろうか。専門家を派遣して予防接種の普及に努めているほか、ワクチン代や接種活動に携わる人の日当として、パキスタン政府に約50億円の円借款を実施。撲滅に向けた目標が達成されれば、ゲイツ財団がパキスタン政府の債務を肩代わりし、日本に返済する。「ローンコンバージョン」と呼ばれる新たな枠組みで、パキスタン政府も熱意をもって対策に取り組んでいると聞く。