スー・チー氏の画像をスマートフォンで掲げる支持者。国民民主連盟(NLD)が圧勝の見込みとなり、歴史的な総選挙となった=2015年11月9日、ミャンマー・ヤンゴン(AP)【拡大】
他方、中国は、ミャンマーをインド洋に抜ける地政学的に重要な隣国とし、旧軍政を支え続けた。政権交代を視野に今年、スー・チー氏を中国に初めて公式訪問させるなど接近。凍結中の中国による北部ダム開発の再開などにも理解を求めているが、親米のNLDとの関係構築は難しい。
現政権は10月15日、少数武装勢力8組織と停戦協定を結んだが、署名に応じたのは和平交渉を進めた15組織の半分にとどまった。中国は、中国国境周辺の勢力に署名しないよう圧力をかけ影響力温存も図ったとされる。スー・チー氏と国軍との距離に付け入り、暗に内戦をあおって揺さぶりをかける可能性もある。
日本企業ねたむ周辺国
署名式には、国境を接する大国の中国、インド、タイと並び、日本の代表も招かれた。軍政時代から中立的な立場で少数民族地域への支援を続けてきた日本財団など、民間の「草の根活動」が評価されたためだ。