【続・灰色の記憶覚書(メモ)】
右肩、特に肩甲骨の痛みに辟易(へきえき)している。朝起きる段などには尋常じゃないほどに痛むのだ。二度寝を決め込んでみようとあがくものの、とにかく目が覚めてしまうとどうにも痛みを忘れられないものだから、数分の後、諦めて起き上がることになる。起きてみると少しずつ痛みが和らいで、昼になる頃にはほとんど忘れてしまう。それであくせく芝居作りなどして楽しく酒を飲み、朝、目が覚めると悪夢が再開される。同じ朝を繰り返しているのではないかというほどに痛む。
アルコールだけは控えるように
行きつけの鍼灸(しんきゅう)師に症状を訴えると、風邪ないしは花粉、あるいは黄砂、あとは、もちろんストレスもあるけれど、四十肩ということもあるのかもしれない、とまるで占い師のようにたくさんの可能性を与えてくれる。なので体調に気をつけながら、仕事も無理せず、寝るときの体勢はこうやって肩の下にタオルを置いて、こういう立ち方は良くないああいう座り方は良くないパソコンは姿勢良く、四十肩ならすぐに痛みは引かないので覚悟もしておく、珈琲、チョコレート、刺激物の摂取は良くない、小麦粉も良くない、もう私には全ての食品を否定されたように聞こえたけれど、たくさんの口に入れてはいけないものを並べられ、最終的にこれらのことを守れなくてもアルコールだけは絶対に控えるようにと念を押されて、仕方なくうなずいた。