困ったら再び駆け込む
四十肩の可能性について忘れたわけではない。けれど先輩の俳優に「実は四十肩というものはなく、病名としては五十肩なのだぜ」と教えられ、四十になりたての私がいきなり五十肩という重荷を背負うに耐え切れず、並べられていたリストから外してしまった。しかし経験者である先輩達に「五十肩って、腕、上がらないのですよね?」と尋ねると「上がるよ。死ぬ気で上げれば」と脅されたことを考えると、私の肩、肩甲骨は、大変に痛みはするけれど、腕が上がらないということはない。むしろ寝ていたり、普通にしているときの方が痛む。それはそれで困るのだけれど、とにかく死ぬ気にならねば腕も上げられぬ肩ではないゆえに、五十肩に属することはないだろうと勝手に胸をなで下ろし。なで下ろした故に、また肩が痛むのである。
というような思考をいつまでも巡らせていてもまるで生産的でなく、また時は今この瞬間も残酷に刻まれてゆくわけなのだから、ともあれ痛みはなかったことにしてせっせとパソコンの前で仕事をして、稽古場で頭を悩ませたり笑ったりの後、居酒屋へ行き、大いに酒を飲んで、大変に気持ち良く寝る。