【続・灰色の記憶覚書(メモ)】
錦糸町の稽古場へ向かう道すがら、目の前に東京スカイツリーが見える。私としてはあまり好感を持たぬ外観の建造物なので、これまで積極的に眺めるようなこともなかったのだけれど、稽古場へ歩むその先にあるものだから、どうにもこうにもあの塔へと向かってゆく体になる。眼前にこうも厳然とそびえるものから無理に目を背けるというのも癪(しゃく)というか、足下ばかり見つめて意気が上がらないので、此畜生とばかりに、むしろ見下げる思いでにらみつける。私よりもずうっと後から現れて、それでいてこの東京のシンボルみたいな面をして生意気というか、建物に生意気もないけれど、いささか図々しいようなところもないではないので、まああんまり調子に乗らないように目を据えているということだけでもない。
眼前にそびえ立ち
それにしてもなかなかの高さである。天気が悪くなると上部がかすんで見えなくなる。その日の天気の推移が、あの新電波塔を見ればつかめるような気さえする。青空を背にずばんとてっぺんまで見える日は、足取りも軽くなる。などと感じはじめて、どうもおかしい。断っておくが、ただ通勤の折にどかんとそこにあるから、仕方なく見てやっているのである。