マタハラ訴訟差し戻し控訴審の判決を受け、記者会見する原告代理人の弁護士=2015年11月17日午後、広島県広島市(共同)【拡大】
広島市の病院に勤務していた女性が妊娠を理由に降格されたことが、男女雇用機会均等法に反するかが争われ、最高裁が違法と初判断した訴訟の差し戻し控訴審判決で、広島高裁(野々上友之裁判長)は17日、降格を適法とした1審広島地裁判決を変更し、精神的苦痛による慰謝料も含めてほぼ請求通り約175万円の賠償を病院側に命じた。女性が逆転勝訴した。
「妊娠を理由とした同意のない降格は違法」と初判断を示した最高裁判決から1年、政府はマタニティーハラスメント防止に本腰を入れ始めたが、被害の実態は深刻だ。専門家は「政府も企業も問題をもっと認識して」と訴える。
差し戻し審で勝訴
「希望を聞いてもらうので仕方ない」。原告の女性は差し戻し控訴審の法廷で、病院に勤務していた当時の心境を振り返った。
理学療法士として患者の自宅に出向く訪問リハビリを担当。2004年に副主任になり、月9500円の管理職手当が付いた。しかし第2子の妊娠が分かった08年2月、比較的軽い勤務への異動を希望すると、副主任を解かれた。その後、産休や育休を取得し、09年に職場に戻ったが副主任には復帰できなかった。