フランスの隣国、ベルギーでもテロ情報があり、最高レベルの警戒が続いた=2015年11月21日、ベルギー・首都ブリュッセル(ロイター)【拡大】
パリ同時多発テロでフランス当局が今年8月、劇場襲撃計画に関する情報を入手していたことが分かった。当局に拘束された男が、主犯格のアブデルハミド・アバウド容疑者=死亡=から「最大の犠牲者を出すため、コンサート劇場を襲撃せよ」と指示されたと供述していた。リベラシオン紙が21日までに報じた。
結果的に端緒は生かされず、国内外の情報機関の網をかいくぐりながら、大規模テロが実行された実態が浮かび上がった。
拘束された男供述
フランス国内では、情報機関の対応に問題があったと批判が強まっている。アバウド容疑者がシリアを出て欧州入りしていたことをフランス当局が把握したのは同時テロ後の16日で、情報機関の強化に向けた体制見直しを迫られそうだ。
リベラシオン紙によると、シリアから戻りフランスで拘束された男が8月、司法当局に対し、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の拠点、北部ラッカ付近でフランスでテロを実行するための訓練を受けたと供述。アバウド容疑者から2000ユーロ(約26万円)を渡され、劇場テロに関する指示を受けたという。
英紙ガーディアンは、フランス情報当局が夏ごろにイスラム国内でのアバウド容疑者の地位などに関する情報をフランス人過激派から入手していたと報じた。この過激派が拘束された男と同一人物かどうかは不明。