≪他の5県は膠着 住民の反対根強く≫
指定廃棄物をめぐっては、福島のほかに、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉の5県に1カ所ずつ処分場を設置する計画がある。しかし、いずれも住民の反対が根強いため、候補地の選定が膠着(こうちゃく)状態だ。国の対応に不信感を募らせ、いったん提示された候補地の返上や白紙撤回を検討する自治体も出てくるなど、解決の道のりは見えない。
「国が2年間かけて、何もやってない。ふざけないでくださいよ」。宮城県の村井嘉浩知事(55)は11月19日、県内の指定廃棄物をめぐる国の対応について、報告に訪れた環境省の井上信治副大臣(46)に対し、こう声を荒らげた。
宮城県では、昨年1月に国が候補地3カ所を提示、村井知事が昨年8月に環境省の現地調査の受け入れを表明したが、いまだに調査に着手できていない。宮城県加美町の候補地では今年、環境省の職員が22回にわたり現地調査を試みたが、そのたびに反対派の住民が阻止し続けたため、年内の調査を断念した。
提示から2年近く進展がないことから、ほかの2市町も候補地の再検討を申し出るなど、事態は進展するばかりか振り出しに戻る可能性もある。