NHKの「クローズアップ現代」のやらせ疑惑について会見する、放送界の自主組織「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会メンバー=2015年11月6日、東京都千代田区(野村成次撮影)【拡大】
だが、出家詐欺そのものは筆者の居住する滋賀県の寺をめぐり実際にあったことで、倫理違反は、番組内でスクープ映像として流された「仲介者」が登場する場面だけである。ということは、このシーンをどこの放送局でもよくやっている、演出による「再現映像」として流せば問題はなかった。演出は「メッセージを相手に効果的に伝えるための工夫」であり、こらに対し、やらせは「視聴者をだます情報捏造(ねつぞう)」である。
一方で、NHKに対する政治圧力という問題では、別の社会的構図があると思えてくる。
BPOは高市早苗(たかいち・さなえ)総務相によるNHKへの注意を「干渉」だとして批判。これに対し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で、「BPOは放送法を誤解している」「放送法が規定する番組を編集する際の順守事項は単なる倫理規範ではない」などと指摘して反論した。だが、BPOと菅氏の双方に、「情報の真実性」についての誤解があると思われる。