打ち込みからの「解放」
クラブカルチャーが、音楽シーンで認知されて20年。新しい音は常にコンピューターや音楽ソフトによって作られていると思っている人が多い。しかし、カーンの本作を聴くと、新しい音は、手段や手法ではなく、斬新な発想から生み出されていることに気付かされる。カーンの活躍は、ジャズの新風が米国だけで起きているのではないことを、世界に示すものだ。同時に、コンピューターによる打ち込みから、音楽を“解放”させる思い切った提案ともいえるだろう。
踊れるジャズと、ジャズの影響を受けたダンスミュージック。これらをミックスして“クラブジャズ”を生み出し、さらに米国の動向に呼応してDJカルチャーも育んできた英国。ここを拠点に活躍するジャズミュージシャンが、これからどんな動きや試みをするのか、とても楽しみだ。とりわけ、カーンは間違いなくその一翼を担っている。(DJ、クリエーティブ・ディレクター 沖野修也/SANKEI EXPRESS)