【続・灰色の記憶覚書(メモ)】
数年前から、わが家の小さな庭先に、目つきの悪い野良猫が頻繁に現れるようになったので、キャットフードを与えてみたところ、大変によく食べるので、面白くなって、しばらく続けていたことがあった。ところがやはり野良猫ゆえにきまぐれで、体調なのか、よそでも餌をもらっているのか、食べる量は気まぐれで、全部平らげることもあれば、それなりに残すこともあった。
野良猫用に庭先に出している皿は毎日洗うのだけれど、残してしまっているときは、そのまま放置することもあった。その夜も皿にはまだドライフードの餌が残っていたのだけれど、また翌朝早くに来るかもしれないのでそのままにしておいた。
すると夜中にかさこそかさこそ音がする。野良猫が夜中に来ることはこれまでなかった。夜も来るようになったということは、日々顔を合わせても、シャーっとうなってばかりのあの薄汚い野良猫も随分なついてきたのかもしれないねえなんてのんきに構えてカーテンを開けると、茶色の身体に黒い顔、その鼻筋に真っすぐと白いラインの入った猫ほどの大きさの奇妙な動物が2匹、明らかに親子というような風体で、むしゃむしゃとドライフードを貪(むさぼ)っているではないか。