自公両党は2017年4月から、加工食品を含む食料品全般への軽減税率の導入を決めた。その「財源」の1兆円の確保は今後検討するという。と聞くと、あたかも「1兆円の消費税減税」であるかのごとき感があるが、だまされてはいけない。年5.4兆円の消費税増税による消費者負担増が1兆円少なくなるだけの話で、れっきとした増税である。「財源」というからには、ほかにたばこ税引き上げか、社会保障費削減など緊縮財政を前提としている。
民間需要を圧迫
アベノミクスの成果は14年4月からの消費税増税により大きく損なわれた。にもかかわらず、政府は「緊縮財政」路線にのめりこんでいる。
グラフは財政資金の対民間収支統計を基に作成した。見ると、日本は14年度以来、緊縮財政で一貫していることが明らかだ。政府が民間から税を徴収する一方で、公共事業、社会保障などに支出するが、支出増加額よりも税収の増加額が多ければ緊縮財政、少なければ積極財政となる。公共事業は確かに13年度に増えたが、消費税増税後は削減に転じた。