法人税下げでは不十分
アベノミクスの「第2ステージ」で巻き返すという安倍晋三首相の決意は固い。その目玉が法人税実効税率の引き下げだが、税収減を恐れる財務省は赤字の企業にも事業規模に応じて課税する外形標準課税の拡大や設備投資減税の縮小など、事実上の増税を組み合わせる考えだ。何のことはない、これもまた全体として減税にはしないのだ。
法人税率を引き下げても、企業は利益剰余金を膨らませるだけだとの懸念はもっともだ。だから、安倍首相らは経団連首脳に対し、税率引き下げの見返りに賃上げや設備投資の上積みを強く求めている。しかし、政府が緊縮財政路線に固執している限り、GDP(国内総生産)の6割を占める家計の需要は増えない。そんなビジネス環境で、経営者がそろって雇用や投資に手元資金を振り向けるだろうか。上場企業株式全体の35%以上を保有する海外株主が「余ったカネは株主配当に回せ」と言う要求をはねつけられるだろうか。