「もっと整ったところで練習ができたらいいのに」
先日、ある県で行われたアスリート育成支援事業で小学生、中学生に水泳指導をした際に耳にした言葉である。こういった言葉を聞いたのは初めてではない。私が第一線を退いてから、水泳指導や講演で地方へ行く先々で、幾度となく聞いてきた。その度に私は「大丈夫! どこでも強くなれる!」と、心の中でガッツポーズをして応援している。
私は、山梨県出身。東京や大阪、神奈川、愛知、福岡といった大都市と比べると田舎だ。その都市の人口にもよるが、交通網や施設などは、大都市の方が充実しているのは確かだ。
私は30年以上、山梨で生活し水泳競技を20年続けてきた。私が幼い頃から、山梨には室内の長水路(50メートル)プールが存在しない。2時間もあれば行くことのできる東京、神奈川、静岡、群馬、千葉、長野には室内長水路プールがあるのに。東京、神奈川、静岡に関しては、県内にいくつもの立派な施設が点在している。そのプールは、大きな国際大会や全国大会をも開催できるキャパシティーがある。