食べ物がないならもっと作ればいい。単純だった私は、そう思い、大学で農学部に入った。卒業後すぐにでも途上国支援に携わりたかったが、青年海外協力隊経験者やJICAに勤める先輩からのアドバイスもあり、いったん企業に就職して社会人経験を積んだ。サラリーマンとして6年間懸命に働いていた頃、奇妙な縁で応募した青年海外協力隊の選考に受かり、バングラデシュに行った。
その後さまざまな経験を経て、2005年にワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に入団。14年から、支援事業に携わる30人のスタッフを束ねる部長という立場で働いている。現地に行き、現地の人とやりとりしながらプロジェクトを進めることが好きな私にとって、マネジメントという仕事は決していつも楽しいものでもないし、簡単なものでもない。しかし、新しいチャレンジだ。
途上国支援という仕事は、すぐに成果が出るわけではない。貧困に苦しむ地域の問題解決に取り組む活動は時間をかければ成果が出るともかぎらない。災害・紛争地での復旧・復興支援は、自分の身も危うい環境で、積み上げてきた支援の成果が戦闘などで一瞬にして破壊されることもある。その時の無力感は想像を絶する。