記者会見で閣僚辞任を表明した甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相=2016年1月28日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
野党が安倍政権の中枢を直撃した「政治とカネ」の問題でイメージダウンを狙い、予算案審議などの場で厳しく追及してくることは容易に想像がついた。そうなれば審議は停滞し、4月以降に予定されるTPP関連法案などの成立もずれ込みかねない。夏の参院選に影響が出る事態になれば、安倍政権にとって大きな痛手になる。
ただ、安倍首相は甘利氏に信頼を寄せていた。TPP交渉でも一貫して「交渉は甘利さんに全て任せている」というほどだった。首相に「更迭」という選択肢はなく、最後まで守り抜く姿勢を貫いていた。甘利氏が28日の会見を前に辞意を伝えても首相は再び慰留したという。
もはや甘利氏自らが決断し、公に辞意を表明するしかなかった。その思いを会見で、こう語った。
「野党に経済演説を聞いてもらえないばかりか、国会審議にも支障をきたしかねない。このことは、安倍政権を支える中心的立場の人間が逆に足を引っ張るという閣僚、甘利明にとっては誠に耐え難い。国政に停滞をもたらすことがあっては、信念にも反する」
ただ、閣僚を辞任したとはいえ、疑惑が完全に払拭されたわけではない。甘利氏に説明責任を果たす責務はつきまとう。(大谷次郎/SANKEI EXPRESS)