甘利氏は2012年12月の第2次安倍内閣発足と同時に経済再生担当相に就任。アベノミクスは金融・財政政策で景気を回復させ税収増で財政再建を図る戦略で、甘利氏はこの理念を首相と共有。財政再建を優先しようとする財務省の抑え役にもなってきた。
霞が関や市場の評価は高い。中央省庁関係者は「よく勉強する政策通で実務家」と話す。市場関係者も「アベノミクス理論を支える柱で、実行力もあった」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)としている。
14、15年春闘では経済界に働きかけ、2年連続で2%を超える賃上げを実現した。16年春闘でも「甘利氏の持つ経済界との意思疎通能力が必要だ」(エコノミスト)と期待されていた。
「米代表と怒鳴り合いをした」というほど難航を極めたTPP交渉も大筋合意に導いた。国会ではTPP法案審議が始まる。2月4日の協定署名後の批准手続きは、与党が衆参両院で多数を占めるため最終的に同意が得られるとみられるが、「後任がちぐはぐな答弁を繰り返すと、夏の参院選などで国民の理解を得られない」(農林水産省幹部)と懸念する声もある。(SANKEI EXPRESS)