金融政策決定会合後、パネルを使い記者会見する日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁=2016年1月29日午後、東京都中央区日本橋本石町の日本銀行本店(共同)【拡大】
日銀は29日、金融政策決定会合を開き、追加金融緩和策として、民間銀行が日銀に新たに預ける資金に年0.1%の手数料を課す「マイナス金利」の導入を初めて決めた。原油安で物価は伸び悩み、年明け以降の市場混乱で景気の先行き不安が強まっているため、金利を一段と引き下げる。2月16日から適用する。マイナス金利は副作用も大きく、デフレ脱却を実現できるか依然不透明だ。
投資意欲減退に危機感
黒田東彦(はるひこ)総裁(71)は会合終了後に記者会見し、貸出金利などの一段の低下を通じて、消費や投資の拡大を促すと説明した。円高株安で企業が今春闘での賃上げや設備投資に消極的になるリスクが高まっていることへの危機感から、新たな手段の導入が必要と判断した。
マイナス金利決定を受け29日の東京外国為替市場では、円相場が対ドルで、一時1ドル=121円台に下落。東京株式市場の日経平均株価(225種)も大幅上昇して取引を終えた。
マイナス金利は、金融機関が日銀にお金を預けると手数料を取られることから、貸し出しを増やす効果があるとされる。主要中央銀行では、欧州中央銀行(ECB)などが適用している。